たいつノート

ゲーム等の感想置き場

【ゲーム感想】家族計画~追憶~、~そしてまた家族計画を~ 今なお色褪せないとは言い難いが時代の面影を感じる良作

あけましておめでとうございます。
唐突に始まりました「名作エロゲ履修シリーズ」第一弾は「家族計画」です。

もう2023年だというのに、なぜ今更15年以上前の作品を……というと、単純に積みゲーが増えすぎたからです。先日の衝撃的な戯画ブランド終了のお知らせを受けて、またFANZAで買い漁ってしまったので、いい加減手を付けねばなるまい、ということで今回の企画に至りました。
特にネタバレは配慮していませんのでご容赦ください。

現時点で積みエロゲは10本以上、果たしていつ終わるのか……。

・総評
67点。
シナリオ、グラフィック、UIとそこかしこに感じる古さは拭えない印象。
山田一シナリオもやはり光るシーンはあるものの、背景設定ありきというか「こういうオチになるよなぁ」の粋を出ないのが惜しい。いま現在で改めて触れるべき名作かというと、少し弱いか。

・各論
田中ロミオ歴でいうと、過去(10年くらい前?)にCross Channelはプレーしたのだが、圧倒的にあちらの方が面白かった。残念。単純なエロゲー経験、エンタメ経験の蓄積による舌の肥えもあるかもしれないが……何というか、プレーしていての新鮮味がやっぱり乏しかったような気がする。
作品の肝である高屋敷家の日常は楽しく面白く描かれていて、キャラに対する愛着はしっかり持てるつくり。キャラのコンセプトが時代相応だったり、ギャグのノリがいかにも往年のエロゲだったりするけど、そういうところは特に気にならなかった。

やっぱりシナリオの基本構造として、何らかの問題を抱えていたり歪んでいるキャラクターが、特にその問題が根本的に解決されたわけではないんだけど、「家族」を持った事による気持ちの変化でEDに向かっていく……っていうところが個人的に共感しきれなかったポイントなのかなと。物語の中での変化が波瀾万丈な訳ではないから、背景設定ありきな感じのシナリオがやや物足りない感はあった。
ただきちんと費やした時間分のリターンはあったというか、物語はしっかり〆てくれるので、まったく駄作という訳ではない。背景とか動機のところに目をつむれば、シナリオとしては丁寧に人間関係や感情の変化を描いていて、ちゃんとクライマックスでの盛り上がりもグッとくる。

個人的な評価としては準ルートと青葉ルートが二強。準は他のキャラのように恋人的な側面が強調されずに、家族として受け入れたっていうところが特によかった。オムライス、美味いよな……。
青葉は個人的な好みも多分にあるけど、基本畜生な親族しかいない中で青葉の祖父エピソードがしみじみと沁みた。竹とんぼを絡めた話の作り方とか、展開にちょっと捻りがあるのもいい。
もちろん茉莉ルートは事実上のtrueのような趣があり、全キャラしっかり高屋敷家に向かって誰も不幸せになってないという正史としての良さがあった。あとはなんと言っても「そしてまた家族計画を」のラスト。茉莉ルートは大団円込みでしみじみ良いなぁと思った。ランスXグランドエンディングのような大往生、マジで最高。

そしてやはり、とにかく曲がいい。これが一時代を築いたI'veサウンド。「同じ空の下で」のインスト流すだけで魅せ場になるというのはズルい。あともう一つ重要な局面で鳴る曲があるのだけど、これもまたいい。言わずもがなだが、KOTOKO歌唱のOPは歌詞も含めて抜群にいい。

グラフィックはいかんせん時代なので、まあこんなもんだね、というところで。当時の水準からしても決して高いとは言えないような……。80年代90年代でも、昔ながらの味を感じることはあるけど、今作についてはそういう印象もなく、たまにデッサン狂ってない?というところもちらほら。追加ディスクでサブキャラだけ立ち絵が描き直されて少しシュッとしているのはいつの時代も変わらずか。

・まとめ
そんなこんなで令和にやっても普通に楽しめたのだが、物語の魅力がキャラへの好感度に直結しているだけに絵柄の古さが足を引っ張っている印象。
キャラ、展開も今となってはややレガシーになりつつあるテンプレ具合だが、エロゲながら家族という切り口で掘り下げた作品は珍しく、一定の新鮮味は感じられた。
クラシックの良さに触れたい!という企画のコンセプトにはしっかり応えてくれた。往年の名作を懐かしみたい人にとっては通って損のない作品。ある意味ここが今後の作品の評価基準になりそうな気もする。
 
今年もたくさん面白いゲームをやりたいものですね。
 
2023/01/01 初稿