たいつノート

ゲーム等の感想置き場

シャニマスコミュ考察 sSR 【(ノージャンル)グラヴィティ】 黛 冬優子

f:id:t1ghts:20200610215406j:plain

おばんです。
アイドルマスター大学シャイニーカラーズ学部ストレイライト学科黛冬優子ゼミの時間がやって参りました。
今回は、2020年6月10日に実装されました、【(ノージャンル)グラヴィティ】 黛 冬優子について考察をしていきます。

というか、今日ですね。居ても立ってもいられずに筆を執りました。

これまでの冬優子コミュと異なる最大の特徴は、カード名とコミュ名があまりにも示唆的でぼやっとしていることでしょうか。
正直なところ、冬優子担当のライターさんはあまりコミュ名で捻ってくるタイプではないと思っていたため少しばかり驚きでした。
しかしながら、やはりそこはシャニマス、今回も相当練り込んできたなと唸らされるセンスだと思います。


前置きはこれくらいにして、グラヴィティ即ち重力とは何か、考えてみました。

まず取っ掛かりに、コミュ①のタイトルとなっている「屑屑」(セツセツ)という言葉を辞書で引いてみましょう。
①こせこせするさま。小事にこだわるさま。
②せわしく立ち働くさま。
③雨などのこまかく降るさま。(iOS版『日本国語大辞典』による)

ここでは雨の季節を描いたエピソードとして③の意味が念頭に置かれていると思いますが、①も②も、とても"冬優子っぽい"と感じられないでしょうか。人によっては少しネガティブに映るかもしれませんが、良くも悪くもストレイライトの世話焼き人たる冬優子の姿と重なります。
コミュ内でも、雨をありのままに受け入れるあさひに対して、冬優子は見た目への影響を気にしたり、あるいは沈黙するあさひに何かとしゃべりかけたり、"屑屑と"した様子です。

 

コミュ②「イレギュラー・バウンス」に移ります。
冬優子のモノローグで(……ほんと、イレギュラー)と入るところがポイントです。「捨て猫に施しをするようなタイプではない」冬優子が、"あさひに対しては優しい"ことが「イレギュラー」なのです。
そしてコミュの最後に、冬優子はあさひが口ずさんでいた「雨やめ~」の歌を教わろうとしますが、あさひがちゃんと思い出せなくて呆れる……という形で終わります。

ここで「イレギュラー・バウンス」、つまり"跳ね返る"動きは、2つあると考えています。

1つめ。冬優子自身が"重力"に反する動きです。
物理学的には正確ではないでしょうが、重力という言葉を、皆に等しく作用する力、そこにあって当たり前のもの、と捉えてみます。
その意味で、冬優子は非常に"順重力的"な人間と言えます。重力に逆らわない省エネ的な生き方とも言えるでしょうか。まさしく屑屑たる雨のように、重力に従って流れ落ちるような人生を送ってきたと考えられます。
そんな冬優子にとっての当たり前や自然体に"反して"まで、つまり"例外的に"付き合わなくてはならない存在があさひなのです(※)。イレギュラー・バウンスですね。

※Pや愛依もその一人ですが、あさひについてはより冬優子が自発的に手を差し伸べたり変わろうとしている面が強いように感じます。この辺は稿を改めて論じたいところです。

2つめ。冬優子からの働きかけに対するあさひの動きです。
重力は地球が地球上の物体を引く力ですが、より一般的に考えると、物体と物体が引き合うという万有引力の一種と言えます。この世のあらゆるものに働いているわけですから、冬優子とあさひの間にも当然引力が働いています。
初期冬優子は、基本的に他人に興味がなく、極力人付き合いを避けようとする人物として描かれてきました。仕事絡みでなければユニットメンバーとは付き合おうともしていませんでした。
ところがストレイライトとしての活動を重ねていく中で、少しずつ距離が縮まった姿がちらほら現れるようになってきています。412の日特別コミュでは、あさひと冬優子が何と遊びに行く約束までしています(案の定あさひはすっぽかしている訳ですが)。
今回もその流れに漏れず、コミュ①ではあさひの考えていることを気にしてみたり、コミュ②ではあさひが口ずさんだ歌を聞いてみたり、何かとあさひに歩み寄ろうとしている冬優子が描かれています。しかし、両コミュともあさひは素っ気ない返答で、冬優子の試みは空振りに終わる――という構成になっています。
こうしたあさひの気まぐれで"不規則な""反応"が、まさにイレギュラー・バウンスという言葉で象徴されています。

こうして2つの解釈を並べてみると、あさひとの関係性に重きを置いた後者の意味合いの方が強いのかなという気はしますね。

 

最後にカードタイトルである(ノージャンル)グラヴィティについても、この延長で捉えてみます。
ジャンルというもっぱら芸術作品に使われる言葉との組み合わせから考えると、やはりアイドルである二人に作用している力なのかなと感じます。
冬優子自身にとっては、ストレイライトという場がニュートラルでキャラ(=ジャンル)を必要としない重力を及ぼしているということ。またあさひとの関係性では、型(=ジャンル)にはまらない引力で冬優子を引き付けているということ。


補足すると、重力というモチーフについては、「下降」「堕落」のようなニュアンスもあり、バウンスすることによって「天空~アイドル~神性」という方向へ向かおうとする……という説も考えたのですが、そのような二元論的な上下運動を考えるよりも、「冬優子」「あさひ」という人物たちの関係性を主眼に置いた方がすっとまとまるかなという思考回路をたどっています。

今回は実装初日に形にしなくてはと勢いで書き上げたところもありますが、取り急ぎ熱量を保ったままでお伝えしました。

実はこんな元ネタ見つけたよ!という方がいればぜひ教えてください。

 

以上

2020/06/10 初稿