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シャニマス考察 sSR【閑話】樋口 円香

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こんにちは。

アイドルマスター大学シャイニーカラーズ学部ノクチル学科樋口円香ゼミを緊急開講致します。

今回追加された【閑話】について、そのあまりの樋口樋口しさから、みなさんも頭を抱えていることと思いますが、本ブログでも描写に込められた意図を可能な限り解明しようと試みます。

 

それでは始めます。

 

・コミュ①「水滴」

フードコートの一角でノートを広げるも、課題を真面目にするでもなくただ駄弁っているノクチル。あらすじとしてはそれだけのコミュです。

会話の中に円香のモノローグが随時挿入されるという構成になっており、相変わらず何を考えているか分からない円香さんには全文解説ができそうな勢いですが、ここでは気になった点をピックアップして取り上げます。

 

円香のモノローグの特徴について。円香にとっては多くのことが「思っていても口に出さない」もの、そして時として言葉足らずであることが分かります。

本カードに先駆けて公表された、浅倉透SSR【ハウ・アー・UFO】においても透のモノローグが印象的でしたが、円香の脳内思考は透と大きく異なることが窺えます。透のモノローグが相変わらず簡潔でふわっとしていて、本人の発言内容とそう大差ないものであることとは対称的です。

 

「どうでもいいけど」という口癖について。

一回目は、クレーンゲームを気にする透に向けたモノローグとして、二回目は、プリンパイを1階に買いに行ったという雛菜に向けたモノローグとして登場しますが、三回目、小糸に対しては「溶けるよ、どうでもいいけど」という発言として表れます。そして四回目、雛菜へのチーズケーキアイスとプリンパイを一緒に食べればという自分の発言に対して、「どうでもいいやつ」とこれもモノローグです。

このように「どうでもいい」は心中含めるときっちり四人全員に対して向けられていますが、ラストの「どうでもいい」が「ほんとくだらないことしかしてない」に続くことから、これらの発言は、「興味がない」よりかは「くだらない、取るに足らない」というニュアンスが色濃いものと考えられます。

自分たちのたわいもないやり取りをくだらないとニヒルに評しつつ、その無価値さにこそ円香が価値を見出しているという矛盾も自覚していることからの、自虐的言い訳の現れが「どうでもいい」なのではないかと思います(この説明の難しさが円香のややこしさそのものですね)。

なお、小糸に対する「どうでもいいけど」は一つだけ発話されていることからも、心配してあげていることへの単純な照れ隠し的な側面が強そうです。

 

「やらないと終わらない」「けど、やれば終わるし」について、円香がこの一見無意味な時間を楽しんでいるということからすると、「やったら終わってしまう(から終わらせたくない)」と読めます。

円香学会では通説となっている「円香は四人の関係が変わってしまう、終わってしまうことへの潜在的な恐怖を抱いている、だからアイドルをしている」という学説(円香は四人が大好きだよ説)に通じるものがありますね。

コミュ②でも課題に対する言及があるので、後ほど触れます。

 

「硬い本と硬い本の間に」、濡れたノートを仕舞うことでコミュが〆られますが、これは「でも、そろそろ戻らないとね やることをやる、生活に」という発言からも分かるように、四人で過ごす「どうでもいい」時間が、建設的で堅実な生活の息抜きとして差し挟まれているということの比喩でしょう。

少し脱線しますが、円香にとって気の置けない幼なじみたちとの時間が「どうでもいい」故に大切だったとすると、アイドルなんか本気でやるつもりはなかったことも大いに頷けます。そして、四人でアイドルを始めてしまったことで共に過ごす時間が「どうでもよく」なくなってしまうことへの焦燥感と、「なんでもできる」という負けず嫌いな自分のプライドとの戦い、つまりWING編の円香における「アイドルをやりたくない/やめたくない」という相反する気持ちの根源はこのあたりなのだろうかと思います。


・コミュ②「飴玉」

早々に透と小糸がどこかへ行ってしまい、小糸にもらった飴をなめつつ、円香は雛菜が欲しがっているプライズゲームを始めます。

「だいたいのことが、できる」という自負の通り、あっさりと手前にあるぬいぐるみを手に入れる円香。しかし雛菜が欲しいのは、「奥にある」「ハートを抱っこしたやつ」の方でした。これは一発では手に入らず、円香も「それなりに」「なんでも、できる」と負けず嫌いな自己評価をやや下方修正、さらに「願わなくたって」と続けます。

 

一旦ここまでの内容ですが、「願わなくてもそれなりにできる」ということは、裏を返せば「できないこと、願ってでも成し遂げたいこと」が存在する、と言えないでしょうか。ぬいぐるみの描写から深読みを重ねると、円香ができないと自覚していることとは即ち、人の奥底にある心、つまり他者の感情に関係するものなんじゃないかなと思います(この文脈だと「掴むんじゃなくて引っかける」という雛菜のアドバイスダブルミーニングにとれますね)。

まどとお学派最右翼の私としては、「つまりそういうこと」だと読んでいますが、これはかなり独善的な解釈ですので、ここは色々な想像の余地があるという結論に留めておきます。

 

コミュの流れに戻ると、四人が合流し、円香が先ほどの場面について振り返ります。「課題は、別に難しくなかった」「でも、面倒そうだった」「だから、もうちょっとだけ休憩」「この飴玉が溶けるまで」と。

 

最後のモノローグについて、コミュ①でも出てきた「やれば終わるし」にも通じますが、円香が自身の行動原理を「別に難しくないからいつでもできる、でも面倒だから、今はやらなくていい」という趣旨で語っています。

本コミュでは、「課題」に対するそれぞれの姿勢に、四人の性格がよく表れています。雛菜はやる素振りすら見せない、透は素振りを見せるもののやらない、「ちゃんとしてる」小糸だけは唯一真面目やろうとし(だからこそ円香は褒めている)、そして当の円香は表向きはやることを諦めています。

これは課題に限らずアイドルのレッスンにも当てはまりそうですが、円香は「面倒そう」と言う割に、隠れた努力家であることは周知の通りです。

結局、四人で過ごす時間は円香にとって本質的には「休憩」なのであり、生真面目でストイックな自分を甘やかすための言い訳が、「面倒そう」という表現になっているだけではないかと思います。

 

コミュ①に象徴的なように普段は小糸を甘やかしている円香が、逆に小糸がくれた飴玉によって「自分を甘やかしている」という構成になっているのがニクいですね。

 

最後に、完全に余談ですが……
チーズケーキ:雛菜
アイス:透
プリン:小糸
パイ:円香
って感じですよね。みなさんはどうでしょうか。

 

考察は以上です。ご意見ご感想あればお気兼ねなくどうぞ。

 

2020/09/26:初稿

 

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